進行中の研究開発プロジェクト

超音波を使った新しい社会インフラの開発

目が見えない・見えづらい視覚障がい者の方々が、安全・安心をもっと感じられる社会を実現することを目指しています。

知的財産保護のため、現時点(2024年2月)では詳細をお話しできませんが、「危険を回避」「誰かに頼らなくても済む安心」の2つの観点から安全・安心な社会を実現します。

開発に使用している端末など:
iPhone, Android, Raspberry Pi, Windows PC, Mac Studio

研究開発のキーワード:
トイレ、買い物、駅、交差点、信号、入口、座席


音波を使った新しい定位装置の開発

超音波などの「高い周波数の音波は回折が起きにくい」という性質をうまく使えば、定位(場所がココだ!と分かること)に活用できます。

知的財産保護のため詳細をお話しできませんが、理論的には、コウモリやイルカで知られているエコーロケーションとは異なるコンセプトで超音波を使った定位が可能です。その装置の実現可能性を科学的に検討しています。

開発に使用している端末など:
Android, Windows PC

研究開発のキーワード:
視覚無効、災害、探知、固有種、希少種、離島


オノマトペの生成や解釈を機械(例えばロボットやAI)で再現するための研究

オノマトペとは、例えば、「バリバリ」「パリパリ」「ぬるぬる」「ツルツル」のようなや擬音語や擬態語のことを言います。

オノマトペには「文字にできる」という特徴があるため、未知の音や状況であっても、それを「何となく伝わる」形にすることができます。それのみならず、オノマトペを使えば、日本語なら「コケコッコー」、英語なら「Cock-a-doodle-doo」のように、言語の壁を越えて状況を伝えることができます。

その「何となく伝わる」を実現するために、ヒトは音や状況に含まれるどんな情報を使ってオノマトペを創ったり、オノマトペを解釈したりしているのでしょうか?

この疑問を科学的に解明するための計算手法とその応用について研究しています。

使用している開発言語:
C++ および C#

研究のキーワード:
音節、生成AI、会話


聞き取りが困難な学生に対する修学支援のあり方に関する研究

聴覚情報処理障害・聞き取り困難症(LiD/APD)と分類されることがありますが、ガヤガヤした環境や複数人での会話を聞き取ることが困難と感じる人がいます。

まだ詳しくお話しすることはできませんが、西村研究室では、困難を感じている学生に対してどのような支援を行えば、感じる困難を軽減することができるかの研究を進めています。

研究のキーワード:
困難度、隠れ聞き取り困難、聞き返し、聞き漏らし


目や耳に障がいがあっても楽しめる新しい楽器の開発

音楽はまさに「音を楽しむ」ものですが、音楽はもっと自由であるべきだと西村は考えます。

目や耳に障がいがあっても楽しめる新しい楽器の開発を目指し、スマートフォンやタブレット端末を使った楽器の実現可能性を検討しています。アプリ開発にはVisual Studioを使用し、ユーザーインターフェイスの実装にはC#で書かれた.NET MAUIを使用します。

リアルタイムの音声データ処理を実現するため、「超音波を使った新しい社会インフラの開発」や「目や耳に障がいがあっても楽しめる新しい楽器の開発」に使用可能な西村研究室オリジナルのネイティブライブラリ(C/C++)をAndroidやiOS向けに作成し、リアルタイム演算を実現しています。

開発に使用している端末など:
iPhone, Android, Windows, Windows PC, Mac Studio

研究開発のキーワード:
自由な難易度、やりこみ要素、皆で楽しむ、離れていても楽しい、リモートセッション


カフェインが与える運動タイミング精度への影響に関する研究

オリンピックなどの国際大会では、試合前に柔道選手がガムを噛んでいるのを見かけることがあります。あれはただのガムではなく、カフェインのガムです。

カフェインはコーヒーやお茶の葉に含まれる成分の一つで、適量を摂取することで眠気がなくなる等の効果があります。また、スポーツ科学分野の研究では「カフェインが運動パフォーマンスに影響する」という示唆が得られていますが、カフェインが「どう脳に作用してパフォーマンスを向上させるのか」は未だに解明されていません。

この研究では「運動タイミングを脳が制御する仕組みにカフェインが作用し、タイミングの精度を向上させるのではないか?」という西村が提案する仮説を検証するため、オペラント条件付け(犬の「お手」のように動物が積極的にその行動をするようになる)を用いた動物実験を行っています。

研究対象の動物:
モルモット(Hartley)、ラット(Long-Evans、Wister)

研究のキーワード:
脳内時計、時間量子化、精度限界


音の文脈から欠落音声を予測する脳内メカニズムに関する研究

私たち哺乳類などは、左右に2つの耳を持っています。その理由の一つは、2つあれば音源の場所が大まかに分かるからです。このことを音源定位と言います。では、2つの耳を使って実現している機能は、本当に音源定位だけなのでしょうか?

音は障害物の後ろに回り込む性質(回折)がありますが、ネズミ等の小さな哺乳類が発する高い音(超音波)は直進性が高く、回折の効果も小さくなります。
動物はまさに「動く」ことが特徴ですので、「誰か」が動きながら高い音を立て続けに発している場合、葉っぱや石等の障害物でたまに音が遮られてしまうことがあります。もしもその動物にとって音の前後関係(文脈)が重要な場合、たまに音が遮られても「さも音が遮られなかったかのように」聴こえる脳内の仕組みがあっても不思議ではありません。何より、耳は左右に2つあるので、たまに遮られても片方の耳では聴こえていることもあるかもしれません。

この研究では「音声の文脈から推測できる状況であれば、片耳で聴こえなかった(もう一方の耳では聴こえていた)ときに、さもその耳で聴こえていたかのような応答が脳で見られるのではないか?」という西村が提案する仮説を検証するため、超音波を発したり聴いたりする能力を持つモルモットの脳の活動を計測、分析しています。

研究対象の動物:
モルモット(Hartley)

研究のキーワード:
両耳聴取、文脈予測、情報補間

研究業績・外部資金獲得状況